眼への負担が少なく、短時間で手術が終了するMIGSだけで全ての緑内障が手術できれば良いのですが、①眼圧下降効果が弱い、②進行した緑内障は適応でない、③適応外の緑内障の病型があるなどの理由で、今まで行われていた緑内障手術を選択する必要がある時があります。 いずれの緑内障手術も“緑内障の悪化を抑えるために、眼圧をさげることのみ”が効果ですが、眼圧を下げる方法によって手術方法が大きく異なります。また、MIGSを含めた緑内障手術すべて、術後期間がたつと効果がなくなるため、一生のうちに何回も手術をする可能性もあります。専門医として適切な術式を選択し、将来を見据えた治療計画を立てていきます。
元々眼に備わっている房水(眼の中の水)の流れを良くすることで、眼圧を下げる緑内障手術です。濾過手術に比べ、眼圧を下げる効果は低く、適応となる緑内障も少ないのですが、合併症が少なく安全性が高い方法です。開放隅角緑内障に対して行われる線維柱帯切開術と、閉塞隅角緑内障に対して行われる隅角癒着解離術があります。
線維柱帯を切開し、房水の流れを良くする緑内障手術です。白内障手術と同時に行うことで、さらに眼圧が良く下がることが知られています。当院ではさらに眼圧が良く下がるように、術後スパイクと呼ばれる眼圧が高い状態が起こることを防止するために、深層強膜弁切除、サイヌソトミー、線維柱帯内皮網除去を併用することがあります。手術時間は約30分程度です。
閉塞隅角緑内障では、房水の排水口である隅角を虹彩がふさいでしまい、眼圧が上昇することがあります。隅角癒着解離術は、その塞いでいる虹彩を直接針で隅角から外してあげることで、房水の流れを良くする緑内障手術です。閉塞隅角緑内障のために白内障手術を行いますので、同時に隅角癒着解離術を行うことが多いです。手術時間も白内障手術を含めて約15分程度のことが多いです。術後3日目くらいに、虹彩の再癒着予防のためレーザー隅角形成術(LGP)を行います。
元々眼に備わっている房水排出経路を使わずに、新しい排水口を作って眼圧を下げる緑内障手術を濾過手術といいます。当院ではデバイスを使用しない線維柱帯切開術と、インプラントを使用したEX-PRESS留置術を実施しています。
眼にメスで孔を開けて新しい排水口を作ります。眼の中の房水は、開けた孔から濾過胞として結膜の下に排出されます。眼圧は非常に良く下がりますが、眼圧調整が非常に難しく、合併症が比較的多いというデメリットがあります。そのために、緑内障手術に対する豊富な経験と知識、頻回の外来通院と処置(レーザーや縫合など)が必要となります。難しい手術になりますが、この手術でないと治療不可能な緑内障も多くありますので、必要に応じて行っています。
線維柱帯切除術では、メスで眼に孔をあけていましたが、EX-PRESSと呼ばれる短いシャントを眼に刺すことで新しい排水口を作ります。線維柱帯切除術より合併症の頻度が低く、眼に対する負担も減少している点がメリットです。
※手術費用は全て片眼の値段になります。
世界最高峰の最先端白内障手術システム。多焦点眼内レンズなどレーザー白内障手術や緑内障の手術・治療は、群馬県高崎市のだるま眼科へ。