緑内障手術
GLAUCOMA SURGERY
GLAUCOMA SURGERY
点眼だけでは、眼圧下降が不十分で、将来失明する可能性が高い場合。
点眼の副作用や点眼を忘れがちで、点眼治療が続けられない場合。
何種類も緑内障の点眼薬をしている場合、減薬目的に、白内障手術のタイミングで。
房水(眼の中を満たしている液体)が眼の外へ流れ出るための新しい排水口を作り、眼圧を下げる手術です。
新しい排水口から出た房水は、結膜の下に流れ、濾過胞ができます。
眼圧を下げる効果が流出路手術より強く、眼圧10mmHg前後のかなり低い眼圧まで下げることができます。
術後早期は眼圧を調整する処置が必要になることがあり、診察の頻度は多いです。
低眼圧、脈絡膜剥離、濾過胞感染などの合併症があります。
術式 | 原理 | 眼圧下降効果 | 合併症 |
---|---|---|---|
濾過手術 | 新しい房水の排水口と作る | ◎ | 多め |
流出路手術 | 元々ある房水の排水経路の流れを改善させる | 〇 | 少ない |
術式 | 濾過手術 | 流出路手術 |
---|---|---|
原理 | 新しい房水の排水口と作る | 元々ある房水の排水経路の流れを改善させる |
眼圧下降効果 | ◎ | 〇 |
合併症 | 多め | 少ない |
当院で実施可能な濾過手術と特徴
線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)
昔から実施されている緑内障手術の一つ。強膜弁を作成し、線維柱帯に孔をあけ、新しい房水の排水口を作成します。緑内障の病型によらず、実施可能です。
エクスプレス
ステンレスの小さなチューブ状の医療機器。手術で強膜弁の下に留置します。虹彩切除術が不要で、線維柱帯切除術に比べ、低侵襲です。閉塞隅角緑内障、ぶどう膜炎、金属アレルギーの方は使えません。
プリザーフロ低侵襲緑内障手術
小さなチューブ状の医療機器で強膜弁、虹彩切除術が不要です。濾過手術系の低侵襲緑内障手術(MIGS)で、手術による眼の負担が少ないです。閉塞隅角緑内障、ぶどう膜炎の方は使えません。使用するにはライセンスが必要です。
濾過手術の比較表
術式 | 虹彩切除術 | 強膜弁作成 |
---|---|---|
線維柱帯切除術 (トラベクレクトミー) |
有 | 有 |
エクスプレス | 無 | 有 |
プリザーフロ | 無 | 無 |
術式 | 線維柱帯切除術 (トラベクロトミー) |
エクスプレス | プリザーフロ |
---|---|---|---|
虹彩切除術 | 有 | 無 | 無 |
強膜弁作成 | 有 | 有 | 無 |
流出路手術は、線維柱帯を切開して、元々ある房水の排水経路の流れを良くして、眼圧を下げる手術です。
眼圧を下げる効果が濾過手術より弱いですが、眼圧12~15mmHg程度の低い眼圧まで下げることができます。
濾過手術に比べ大きな合併症が少なく、診察の頻度は濾過手術より少ないです。
ほぼ全ての方に前房出血があり、術後2週間程度見えづらいです。
術式 | 原理 | 眼圧下降効果 | 合併症 |
---|---|---|---|
濾過手術 | 新しい房水の排水口と作る | ◎ | 多め |
流出路手術 | 元々ある房水の排水経路の流れを改善させる | 〇 | 少ない |
術式 | 濾過手術 | 流出路手術 |
---|---|---|
原理 | 新しい房水の排水口と作る | 元々ある房水の排水経路の流れを改善させる |
眼圧下降効果 | ◎ | 〇 |
合併症 | 多め | 少ない |
当院で実施可能な流出路手術と特徴
線維柱帯切開術(眼外法)(トラベクロトミー)
昔から実施されている緑内障手術の一つ。眼の外側からアプローチし、トラベクロトミープローベで線維柱帯を切開し、眼圧を下げます。当院では追加手術(シヌソトミー、深層強膜弁切除術)を併用し、さらに眼圧下降効果を高めています。
線維柱帯切開術(眼内法)
(マイクロフックトラベクロトミー)低侵襲緑内障手術
眼の内側からアプローチし、線維柱帯を切開する方法です。流出路手術系の低侵襲緑内障手術(MIGS)で、所要時間も短く、手術による眼の負担が少ないです。線維柱帯切開術(眼内法)の種類は多くがありますが、当院では谷戸式マイクロフックを用いた方法で行っています。
流出路手術の比較表
手術時間 | 追加手術 | |
---|---|---|
眼外法 | 30分 | 有 |
眼内法 | 10分 | 無 |
周辺部虹彩切除術、隅角癒着解離術、水晶体再建術は、閉塞隅角緑内障に有効な緑内障手術です。
当院で実施可能な
閉塞隅角緑内障に対する緑内障手術
周辺部虹彩切除術
急性緑内障発作で角膜浮腫でレーザー虹彩切開術ができない場合に実施します。前房と後房にバイパスを作り、相対的瞳孔ブロックを解除し、閉塞隅角緑内障を治療します。
1.房水は後房から瞳孔、前房を経て、隅角から排水されます。
2.白内障が進むと、水晶体が大きくなり、瞳孔のところで房水が流れる隙間が狭くなります(相対的瞳孔ブロック)。その結果、後房に房水がたまり、虹彩が後ろから押し上げられ、隅角がふさがってしまいます。
3.周辺部虹彩切除をすることで、前房と後房のバイパスができます。その結果、前房と後房の圧格差がなくなり、閉塞隅角緑内障が解消されます。
隅角癒着解離術
閉塞隅角緑内障がつづくと、隅角に虹彩が癒着してしまい、房水の排水経路の流れが悪くなり、眼圧が上がってしまいます。隅角癒着解離術は、専用の針で隅角を塞いでいる虹彩を剥がす手術です。術後3日目くらいに、虹彩が再び隅角に癒着しないようにするため、レーザー治療(レーザー隅角形成術)を追加します。